自力救済行為をしてしまった場合の損害賠償

賃借人が賃料を滞納している場合、大家さん(賃貸人)としては、一刻も早く建物を明け渡してもらい、別の入居者を探したいと考えるのが通常でしょう。

しかし、なかには悪質な賃借人もおり、のらりくらりと逃げ回ってなかなか建物を明け渡さない場合や、残地物が残されている場合もあります。

そのようなとき、賃貸人としては、「向こうが悪いことをしているのに、なぜ自分が不利益を被らなくてはならないのか」「賃借人が応じないのであれば、自分がなんとかしなければ」と思いつめ、無断で鍵を交換する、残置物を搬出・廃棄する等の対応をとってしまうケースがあります。

このように、法律で定められた手段に則ることなく、自身で権利の実現を図ろうとすることを自力救済といいます。

追い詰められた大家さんの心情としてはもっともなところだと思いますが、法は、原則として、自力救済を禁止しています。日本が、法治国家である以上、権利が侵害されている場合には、法律に則って、その救済・回復を図るべきであると考えられているからです。

「そうは言っても、しょうがないじゃないか」とお思いになるかもしれませんが、自力救済に当たる行為をしてしまうと、ご自分に法的な不利益が生じるかもしれません。

以下では、自力救済をしてしまった場合のリスクについて、説明します。

 

〈自力救済行為をしてしまった場合に問われる責任〉

自力救済行為、具体的には、賃借人の不在中に、鍵を交換する・カバーを取り付ける等して、賃借人が建物に入れないようにする、あるいは、深夜に、繰り返し賃借人宅を訪問する等の行為が考えられます。

それらの行為をしてしまった場合に、考えられる責任としては、①民事上の責任、②刑事上の責任の2つが考えられます。

まず、民事上の責任ですが、上記のような行為をしてしまった場合、その態様によっては不法行為(民法709条)に該当し、損害賠償責任を追及されることがあります。

不法行為責任は、加害行為により、権利・利益が侵害され、損害が発生した場合にその責任を問うもので、どのような権利が侵害されたといえるかは事案によりけりですが、賃借人の占有権やプライバシー権、平穏に生活をする権利、場合によっては営業権等が侵害されていると判断された裁判例があります。

金額も事案によって異なりますが、悪質と判断された場合には、賠償額が高額にのぼる可能性もあるでしょう。

さらに、賃借人を訪問し、明け渡しを迫るような行為は、刑法上の不退去罪や強要罪に該当し、②刑事上の責任を問われる可能性があります。

不退去罪は、刑法130条後段により、「第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」と規定されています。

また、強要罪は、刑法第230条1項により、「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。」と規定されています。

いずれも、実刑の可能性がある犯罪行為であり、刑事責任を問われる可能性があります。

 

〈弁護士に依頼するメリット〉

上記のように、自力救済行為を行なってしまうと、賃貸人である自分の方が、かえって損害賠償を請求される事態に発展し、最悪の場合には刑事責任を負うことになりかねません。

なんとかして明け渡しを求めたいという気持ちは痛いほどわかるのですが、自分が責任を負う側となり、滞納している家賃の回収をすることはおろか、自分が賠償をする側になってしまっては身も蓋もありません。

その点、弁護士にご相談いただければ、事案に即し、少しでも早く明け渡しを求め、金銭的な問題についても、少しでも回収可能性の高い手段をご提案させていただきます。そのため、上記のような責任を負うリスクを回避した上で、なるべく早期に・有利に事件を解決できるよう進めることが可能です。

自分ひとりでお悩みになり、自分自身が不利益を被ってしまう前に、まずは踏みとどまって、弁護士にご相談下さい。

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