【コラム】簡易裁判所の支払督促を利用した家賃の回収

家賃など比較的少額の債権の請求に便利な仕組みとして、支払督促というものがあります。

これは簡易裁判所の制度で、比較的簡単な手続きで債務名義(強制執行のためのお墨付き)を得ることができるという意味で便利な制度です。

申立てにおいては申立書の他一定の書類を出せばよく、証拠を添付する必要はありません。また、異議を述べられて裁判に移行した場合は別として、支払督促手続きの中では期日が開かれませんので、裁判所に行く必要もありません。通常の訴訟に比べるとかなり簡単な手続きということができます。もっとも、この手続きに関しては異議が出されれば通常の訴訟に移行します。まず支払督促を申し立てて送達から2週間以内に異議が出なければ、仮執行宣言付支払督促の申立てができます。それについても送達から2週間以内に異議を出すことができますが、それでも異議が出されなければ確定します。

なお、この手続きは、金銭の給付を目的とする場合にしか使えず、建物明け渡し請求には使えません。そこで、住み続けてもらってもよいが家賃の回収は図りたい、場合に活用を考えると良いでしょう。

この仕組みで未払い家賃を請求する場合には、債務者である賃借人が異議を出さなければ、裁判期日が開かれることなく債務名義を得ることができます。債務名義があれば、給与の差し押さえ等が可能になります(ただし、勤め先が分からないと給与差し押さえはできません)。支払い督促の手続きが最後まで行く前に賃借人から電話で連絡があって分割で支払うといわれた場合には、月々一定額を入れてくれることを条件に支払督促を取り下げるか、少なくとも強制執行は差し押さえるということが可能です。一方、異議が出されると、通常の裁判に移行します。そこで和解をして分割で支払ってもらうという方法もあります。もちろん、通常の裁判でも判決が出れば債務名義になります。ただ、相手方の勤め先が分からない場合(賃貸借の場合にたいていは勤め先を聞いているでしょうが、転職している場合もありうる)には差し押さえは難しいので(ほかに資産があれば別ですが)、分割での合意をして支払ってもらうほうが現実的な場合もあります。

いずれにせよ、支払督促は明け渡し請求ではなく家賃請求など金銭の請求に使うことができる制度であり、契約解除と明け渡しを念頭に置いている場合は、民事訴訟の方が適切な手段といえます。一方、未払い分を払ってもらえればそれでよいという場合には、簡便に解決できる可能性があるので、検討してみると良いと思います。

なお、家賃の回収以外にも知り合いにお金を貸した場合や売掛金など様々な金銭目的の債権回収に使うことができる手続きですが、異議を申し立てられると訴訟に移行するので、その場合のことも考えてまずは弁護士にご相談いただければ、と思います。

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